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 会社の資本金を、いくらにするか

 ベンチャー・中小企業の資金繰り

 ストック・オプション

 余剰金の配当

 役員報酬・賞与についての注意!
















会社法では、資本金を0円とする会社の設立を認めています。しかし、そのことと、元手ゼロで会社が出来ることとは違います。この点は、よく誤解されますので、起業にあたっては注意しましょう。



(1) 株式会社では、会社の債務の引当てになるものは会社財産しかありません。そこで、従来は、株式会社は、少なくとも1000万円以上の資本金をもっていなさいという制度が定められていました(最低資本金制度)。
これによって債権者の保護を図ろうとしたのです。

(2) しかし、「最低資本金制度は、債権者保護には何の役にも立っていない、机上の空論だ」という根強い意見もありました。もともと,資本金というのは,「会社に出資した財産の価額の総額をメモしたもの」であり、出資時点から,現時点まで,どの程度,財産が増減したのかを把握するために考えられた会計上の工夫にすぎないという意見です。
債権者保護として大切なのは、キャッシュフローであり、返済に見あうだけの流動資産を会社内部に絶えずプールしておくことであって、「会社を作る際に、少なくとも、これだけの資金を用意しなさい」と法律で強制しても、何の意味もありません。
そこで、会社法は、思い切って、最低資本金制度を廃止したのです。

(3) これにより資金が少ないが、才能と意欲のある人達の企業が可能となりました。
もっとも、会社法でも、配当後の会社の純資産額が300万円未満になるような剰余金の配当は禁止されており(会社法458条)、この点は、会社運営で注意しましょう。最低資本金制度が果たしてきた機能の一部は会社法においても残されているのです。



しかし、資本金は0円でも出資金は0円というわけにはいきません。
会社法は、発起人(会社を立ち上げる責任者)が、株式会社の設立に際し、株式を1株以上引き受けなければならず(会社法25条2項)、引き受け後は、遅滞なく引き受けた株式について、出資に係る金銭全額の払い込み、又は出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなさいと規定しています。(会社法34条1項)。
出資行為が必要となるということは、設立に際して出資される財産がゼロであることは許されないと言う考えが前提になっています。
但し、それは1円でも構いません。



(1) しかし、出資した金額が、そのまま資本金になるわけではありません。出資した金額は、まず、発起人に支払う報酬や設立費用に充当されます(会社計算規則74条)。
充当した後の残金を、会社法は、「設立に際して株主となる者が、株式会社に対して、払込み又は給付した財産の額」という表現をしています。この「払込金・給付額」が資本金に充当されることになるのです。
計算式にすれば、
出資金 − 設立費用等 = 払込金・給付額 → 資本金
ということになります。
そこで、設立費用が出資金より高額な場合には、結果として設立時の資本金額が0円となる場合が生じることとなったのです。

(2) それでは、出資金から設立費用を差し引いて「おつり」があれば、その「おつり」が、そのまま資本金になるのでしょうか?
会社法は、そのお釣りの内、2分の1を資本金とすればよく、残りは、資本準備金としてよいと規定しています(会社法445条1項・2項)。
ですから、「おつり」が100円ならば、50円を資本金とすれば、残りの50円は資本準備金とすることができるのです。


















社債の発行というと、つい上場大企業を連想しがちですが、小さな会社でも、合同会社・有限会社でも、できます。
よく利用されるのが「少人数私募債」です。これは、少人数の縁故者や取引先を対象として発行する社債です。


要件としては、

@ 社債権者が50名未満であること
A プロの投資家(適格機関投資家)がいないこと
B 社債総額と最低券面額で除した数が50未満であること

などです。


資金が必要なときは、「晴れたときだけ傘を貸す銀行」や、やたらと高金利な商工ローンよりも、取引先や知り合いからの社債形式での融資も検討してみましょう。
この社債に、将来株式に転換できる権利を与えて発行し、将来、経営に共同参加してもらう含みをもたせるのもよいでしょう。




会社法は、普通の株の他に、9種類のちょっと変わった株の発行を認めています。株主は、出資者として会社から利益の配当を受ける権利(自益権)があると同時に、オーナーとして会社経営に参加する権利(議決権等の共益権)があります。この権利について、色々な違いを設けた株を発行できるのです。
出資者の中には、配当だけに興味があり、会社経営には興味がないと言う人も少なくありません。
そこで、「利益は他の株主より優先的に配当を受けられるが議決権が制限される」という株を発行すれば、事実上、融資を受けることができます。

但し、その場合、

(1) どういう財産を配当するかは、定款で要項を定めれば足り、詳細は取締役会で定めればよいのですが、剰余金の配当する条件・配当財産の価格の決定方法・その他剰余金の配当に関する取り扱いの内容については、定款で詳しく規定しておく必要があります。

(2) 議決権制限についても、どういう場合に議決権が行使できるかは定款で要項を定めれば足り、詳細は取締役会で定めればよいのですが、行使の条件を定めるときは、定款で詳しく規定しておく必要があります。

(3) この無議決権優先株は、いつまでも、存続させておくわけにはいかないので、一定の事由が生じたら、会社がその株式を取得できる(取得条項付株式)か、逆に、株主かが会社に買い取りを請求できる(取得請求権付株式)ようにしておく必要があります。




普種類株式を発行しなくても、株主間契約を締結すれば、同様の経済的効果が得られます。(但し、その契約に違反した場合は、損害賠償の問題のみが発生し、議決権行使が無効になることはありません。)
このような株式は、経済的には、限りなく社債に近いものになります。二つの違いは、毎年の配当が、企業の業績に連動するかどうかです。




なお、この「利益は他の株主より優先的に配当を受けられるが議決権が制限される」という株は、通常は、資金調達に使われるものですが、人材スカウトにも有効です。会社の一員にはなってほしいが、経営にはあまり口を出してほしくないと言う人、例えば特許を持っている、特殊な才能がある、しかし、経営には、まるで向いていないと言う人は結構いますよね。こういう人達をスカウトする際も、この株を有効に利用できます。
勿論、このような場合は、取得条項付あるいは取得請求権付株式とする訳にはいかないでしょうが、退社の際は、会社の指定する者に株を売却するという株主間契約を締結しておく必要があります。



















ストック・オプションというのは、株価連動型の報酬です。
〈新株予約券を与える→一生懸命働く→企業価値が向上する→新規上場する・株価が値上がりする→株価が取得価格を上回る→儲かる!→益々働くようになる〉というシステムです。

会社にとっては、

@ 業績向上へのインセンティブを与えることで、社員が熱心に働くようになる。

A 反面、会社にとって、格別、資金負担が増えるわけではない。

つまり、金をかけずに、従業員を熱心に働かせることができるようになるという誠に便利な制度なのです。
そこで、資金力に乏しい起業家が、積極的にこの方式を利用してきました。




法律的には、次の2つの方法から、選択して、ストック・オプションを組み立てることになります。

@ ストック・オプションそのものを現物支給の非金銭的報酬とする。

A ストック・オプションの公正価格を払込金額とする一方で、当該払込金額と同額の報酬あるいは賃金を支給する。
具体的には、払込に代えて当該金銭報酬請求権により相殺を行うので、現実に、金銭が移動することはありません。




(1) このストック・オプションを取締役に付与する場合は、会社法361条1項の報酬等の決議が必要となりますが、新株予約権を無償で発行する場合であっても株主総会の特別決議を経る必要はありません。
付与するストック・オプションの価格の上限額(会社法361条1項1号)とストック・オプションの内容(会社法361条1項3号)を決定すれば、その後は取締役会決議だけでストック・オプションを発行できます。

(2) 従業員にストック・オプションを付与する場合も、それが、労働者の企業への貢献を考えれば正当なものと認められる限りは、取締役会決議だけでストック・オプションを発行できます。
ストック・オプションは給与ではなく、「恩恵」ですから、賃金の全額現金払いの原則を定める労働基準法25条に反することもありません。
但し、それが、「給与」の実体があるときは労基法25条に違反することになります。
また、何の貢献もしていない従業員となると、有利発行として、株主総会の特別決議が必要となります。

(3) 取引先にストック・オプションを付与する場合は、当然、有利発行として、株主総会の特別決議が必要となります。




平成18年5月1日以降に付与されるストック・オプションについては、企業会計法上、費用として計上しなければなりません。つまり、会社の決算上、かなりの負担となります。
従業員にやる気を起こさせるつもりで、やたら、ストック・オプションを乱発すると、赤字決算→企業価値下落→株価下落となり、かえって従業員のやる気をなくさせます。
既に、ストック・オプションの付与に関して多額の費用を計上したことを公表している会社も出てきています。

















会社が利益をあげたとき、債権者の担保のためにどの程度内部留保し、投資家のためにどの程度配分すべきか。

会社法は、この点について、
@ まず一定の枠を設け、
A この枠の中の利益は、会社に内部留保し、
B「この枠からはみ出た利益は株主に交付してもいいですよ」という規制をしています。
この枠を超えて配当してしまったら、決議に賛成した取締役は、個人的に賠償責任を負うことになっています。この賠償責任は取引先のための責任ですから、総株主が「免除する」と意思表示しても、免除できない責任です。

会社法が設けた枠は二つあります。
(1) 一つは、300万円未満の純資産は必ず会社に内部留保しなさいという枠です。
純資産が300円以上になった場合のみ、300万円以上の金額について配当できるのです。
(2) もう一つは、会社の純資産から資本剰余金と利益準備金の額を差し引いた額の範囲内でしか配当できないという枠です。(詳細は、会社法446条・461条Uをご覧下さい。)

この二つの枠からはみ出た部分が、剰余金として株主に還元できる利益です。

この剰余金の配当は、株主総会の決議さえあれば、何時でも何回でも行えます。但し、金銭配当ではなく現物配当の時は株主総会の特別決議が必要です。

またこの枠は、どういう形を取るにせよ、会社から株主に利益配分をする場合、例えば自己株式を有償で取得する場合、相続人に売渡請求をする場合に適用されます。

配当は原則として株式数によります。しかし、定款に規定すれば、頭割りの配当も可能です。さらに、優先的に配当を受けられる優先株の発行も可能です。但し、定款変更決議をするには、特別決議 ( 総株主の半数 + 総議決権の4分の3以上 の賛成 ) が必要です。
株主間契約で、配当割合を取り決めることも可能で、実務では、むしろ、この方が主流です。



















従前、役員報酬や退職金は、お手盛り防止の観点から、株主総会で決議する必要があるが、賞与は、利益処分によるとされてきました。
しかし、会社法は、「報酬」の他にも「賞与その他、職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益」は、ともかく(定款で定めていない限りは)株主総会で決議しろと規定していますから、賞与やストックオプションも、報酬と同様な総会決議が必要になりました(361・379・387・404-3)。




企業会計法上、賞与は会社の費用として計上し、剰余金処分(会社法452条)に計上することはできません。(企業会計基準委員会「役員賞与に関する会計基準」企業会計基準第4号)。
同様に、ストックオプションも、費用計上しなければなりません(企業会計基準委員会「ストックオプションに関する会計基準」企業会計基準第8号)。




会社法の制定で、会社の設立が容易になりました。しかし、そのため、会社の法人格を利用した節税策が横行するのではないかという問題が生じました。
そこで、税法は、報酬・賞与の損金算入を厳しく制限しています。

1、 まず利益処分としての賞与が支給できない以上、今後は、取締役のモチベーションを高めるため、取締役の業績連動型報酬制度を導入する企業が増加するでしょう。例えば、「●●円を上限として利益の●●%を報酬とする」というような規定の仕方です。
しかし、この制度は、法人税法上、有価証券報告書に記載することで、はじめて損金処理が認められますから、上場していない会社では、そのような報酬体系を定めても、損金処理ができないことになります。

2、 定額報酬としたとしても、役員報酬が給与として損金処理ができるためには、「毎月1回以上、定額を払う」必要があります。これを定額同時給与と言います。今までのように、「社外取締役だから、半年に一度給与を支給します」というのでは、特定の届け出をしない限り、損金算入は認められません。
次に、ボーナスも、所定時期に定額を支給する旨を定め、税務署長の届けでなければ、やはり損金算入が認められません。(事前確定給与の届け出)。

3、 実質的一人会社(オーナーとその一族が90%以上の株を持っている同族企業で、役員の過半数が一族)では、基準所得金額が一定の金額以下の場合を除いて、オーナーの給与所得控除分相当額は、法人税の損金に算入できなくなりました。
これは、オーナーが、法人税の段階で、自分の会社で自分の給与を経費として控除し、所得税の段階で、さらに給与所得控除を受けるのは不合理だからです。特に、今後は、会社の設立が容易になることから、法人格を利用した節税が増えると予想されるので、国税庁は、事前に手をうったわけです。





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