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 取締役の責任免除

 ベンチャー企業・中小企業の株主総会

 従業員持株会































(1) 取締役は、経営のプロとして、株主に代わって経営を行うのですから、経営にミスがあって、会社に損害を与えれば、会社に対して賠償責任を負う必要があります。僕はまだ若年で素人ですから、などという言い分は通りません。会社が賠償責任を追求しなければ、株主が会社に代わって責任追及をします(代表訴訟)。

但し、判断を誤り会社に損害を与えても、過失がなければ、賠償責任を負いません(会社法120条4項、423条、462条2項、465条等)。

(2) では、どういう場合に、過失があると認定されるのでしょうか?
大事なことは、「過失の有無は、結果から、判断してはならない」ということです。事業の発展を見込んでA事業に投資した。しかし、経済情勢が急変し、投資は失敗した。その結果、会社は、大変な損害を被った。よくある話しですが、後から、評論家みたいに「プロたるもの、かくあるべきだ」「情勢判断は、もっと慎重であるべきだった」等と言っても、人間というのは、評論家が言うような完璧なものではありません。

(3) 判例では、「経営判断の原則」という法理を適用して、過失の有無を判断しています。これは、「経営者には、経営者としての裁量権があり、経営者としての判断選択がその裁量の範囲内なら、結果として、その判断選択が間違えていても、責任は負わない」と言う原則です。
ですから、「経営者としての裁量の範囲内」なら、取締役は、責任を負わなくて良いのです。

但し、@自己のために利益相反取引をした取締役(会社法428条)、A株主の権利行使に関し財産上の利益を供与した取締役(会社法120条4項但書)については、無過失責任とされています。




(1) 経営者が裁量の範囲を逸脱した経営判断をして会社に損害を負わせたなら、取締役は責任を負わなければなりません。
しかし、取締役には、義理でなった人、社長命令で取締役になった人、色々です。そんな人は、この程度の報酬で、ここまで責任を負わせられたらたまったものではないと考える方もおられると思います。
そこで、会社法では、一定の場合に、会社に対する取締役の賠償責任を免除することにしています。

具体的には、
@ 総株主の同意による全部免除(会社法424条)、
A 株主総会の特別決議による一部免除(会社法425条)、
B 定款授権に基づく取締役会の決議による一部免除(会社法426条)、
C 責任限定契約による責任の一部限定(会社法427条)
の4つです。

(2) このうち、出資者から責任追及される任務懈怠責任については、予め、会社と責任限定契約を締結し、任務違反があっても、責任を一部免除してもらうよう事前に取り決めておくことが可能です。

この責任限定契約を締結すれば、
@ 代表取締役が報酬の6年分、
A 社外取締役を除く代表取締役以外の取締役は報酬の4年分、
B 社外取締役は報酬の2年分を限度
  (責任限定契約については定款で定める額と比較して高い方)
に、事前に責任を限定することができます。

(2) 任務懈怠責任以外の責任の免除には、一部免除、責任限定契約に関する規定の適用はなく、原則どおり、総株主の同意が必要です(会社法120条5項、462条3項、465条2項)。
















中小・零細企業でも、株主総会は開かなければなりません。現実には、開いたことにして書類を作成している会社が大部分でしょうが、それは、会社が平穏無事な場合。会社の内部で感情的対立が生ずれば、株主総会を開いたことにして就任した取締役や代表者は、総会決議不存在で責任追求されます。

この観点からすると、零細・小規模企業では、取締役会を設置しない組織形態をとると、何かと便利です。というのは、株主総会は、「法律・定款で定められている事項」に限らず、一切の事項が決議事項となり、権限が強大になりますが、株主総会を開くための面倒な手続きが省略できるからです。
招集通知は1週間までに出すことになっていますが、定款で短縮できますから、定款で定めさえすれば、当日の通知でもいいことになります。しかも、口頭の通知でよく、会議の記録も不要となります。
要するに、夫と妻だけが株主なら、「おい、これから、株主総会するぞ」ということで、適法に株主総会が開かれたことになるのです。
















1、 従業員持株制度が、大企業のみならず中小企業にまで普及してきました。オーナーの持株比率を減少させ、相続税の課税価格を引き下げることから利用されているようです。
ただ、従業員に株を持たせても、退社と同時に社外に持ち出されては困ります。又、従業員が勝手に議決権を行使する等の反乱を起こされても困ります。
そこで、中小企業の場合には、従業員個人に株を持たせることなく、従業員持株会を設立して、その持株会を通じて、間接的に株を持たせることが必要となります。

2、 この従業員持株会には、組合契約による組合方式を用います。マンションの管理組合のような権利能力なき社団方式も理論上はあり得るでしょうが、実務上は組合方式がほとんどです。というのは、権利能力なき社団方式だと、まず会社から従業員持株会に配当され、従業員持株会が、各従業員に配分するので、会員への配当が雑所得になるからです。

ところが、組合方式だと、従業員はストレートに会社から配当を受け取ることができ、配当所得になります。従って、配当控除や源泉徴収税額控除を受けることができるし、控除しきれないときは還付を受けることもできます。

3、 従業員持株会を通じて従業員に株を持たせるとしても、上場会社ならともかく、非上場の会社では、
@ 会社が有する自己株式を購入する。
A オーナーから購入する。
B 第三者発行による。
の3つの方法が考えられます。

持株会の会員は、たいていは非支配株主でしょうから、配当還元価額で株を売却すれば問題ありません。配当還元価額と言うのは、株価に対する配当率は10%であると計算する方法です。ですから年1円の配当が1000円のときは、株価は1万円となります。但し、会員がオーナー一族のときは、この計算式は当てはまらず、純資産方式等の別の計算方式によりますから、注意が必要です。

尚、第3者割当増資の場合、時価あるいは時価との差が、おおむね1%以内のときは問題になりませんが、これを超えると、有利な発行により、給与所得又は一時所得を得たとして課税されます。

4、 上場企業以外では、社員が退社するとその従業員の持っていた会社の株をオーナーや会社が買い戻すことを定める必要があります。株式の社会への流出を防ぐ必要があるからです。そして、この場合の買戻価格も予め定めておく必要があります。たいていのケースでは、従業員が退社する際は、取得価格と同額で株を譲渡するという規定になっているようです。

しかし、このような買戻の規約については無効だと言う根強い意見もあります。
第1は、まず従業員に退社にあたり売却を強制することが有効か
第2は、有効としても、取得価格と同額と定めることが有効か
という問題です。

第1の問題については、最高裁は、「自由な意思で制度趣旨を了解して株主になった以上、当該条項は有効である」と解しています(最判H7・4/2)。

第2の問題については、判例は、これを有効と認めるのが大勢ですが、いずれも高配当を行っていたケースです。

「従業員持株会制度が従業員福祉の制度である以上、株式保有期間の留保利益を全く反映しない売買価格の定めを有効とするには疑問がある」という有力説も強く唱えられています(江憲賢治郎・株式会社法・232頁)。低い配当のケースでは、有効性が認められるか、疑問があります。

なお、税務上、従業員持株会が引き取る場合には問題ありませんが、オーナーが引き取る場合は贈与税が、企業が引き取る場合はみなし譲渡が課税される危険性があります。

5、 従業員持株会は、租税法や会社法等、色々な問題を含んでいます。少なくとも、相続税の節税としては、お勧めできません。事前に専門家とよく相談をしましょう。






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