リーガルハラスメントと単独親権

現在、実務で一部の非親権者、非監護者から、親権者・監護者やその代理人に執拗な法的攻撃は繰り返されており、また、こういう事件を積極的にどんどん受任している弁護士も、一部だがいる。
刑事告訴や懲戒申立、繰り返される監護者や親権者変更の申立て、どれも審理前から結論が出ているような事件ばかりだが、当事者や代理人には、かなりの負担となる。依頼者の多くは、次々と提起される法的手続きで弁護士に依頼する経済能力に乏しいし、弁護士も、放り出すわけにはいかないから、ある程度は、手弁当にならざるを得ない。実子誘拐ビジネスは、刑事告訴や懲戒申立、親権者変更を繰り返す側の代理人にはビジネスとして充分成り立つが、起こされる側の代理人には、「ビジネス」として全く成り立たない。
ただ、今回の改正民法で、このリーガルハラスメントという実子誘拐ビジネスに相応の抑制効果が生ずるかもしれない。というのは、改正民法では、必要的単独親権事由として「父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるとき」が規定されたからだ。
この「共同して親権を行うことが困難な時」というのは、DVやモラハラがその典型だが、裁判所は、「正当な権利行使の範囲を明らかに超えて濫用的な裁判手続きの申立を繰り返す場合」、つまりリーガルハラスメントの場合もこれに該当すると明言しているからだ(家法58)。
また、この種の事件では、相手の人格を否定する言動を執拗に繰り返す場合も、これに該当するとされており、刑事告訴など、まさにその典型であるが、法廷での発言も、それに該当する。法廷で、一部代理人や本人にみられた人格非難も、これで少しは収まるかもしれない。
いずれにせよ、「将来的にも最低限の協力関係の構築すら望めず、親権共同行使の前提となる父母間の協議を適切に行うことがおよそ期待できない場合」は、必要的単独親権になる。弁護士を立てて裁判沙汰になること自体が、ほとんどの場合、「最低限の協力関係の構築すら望め」ないから、裁判事件は、ほぼ必要的単独親権事由となるだろう。
今後代理人は、「最低限の協力関係の構築」が期待できるような関係を築く能力が必要となる。
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