共同親権が審判で「強制」される場合

来年4月から施行される家族法の規定は、一見、原則共同親権、例外単独親権ととられがちだが、政府や裁判所からは繰り返し、どちらも原則ではないと明言されている。しかし、合意がなくとも、審判で共同親権を命じられる場合があることは確かである。
当事者にとって、一番、関心があるのは、どういう場合に、審判で強引に共同親権が命じられるかであろう。
現在、裁判所サイドでは、以下の5つの場合に審判で共同親権が命じられる可能性があると公表している。言い換えれば、これ以外は、審判で共同親権が命じられる可能性はない。
①同居する親と子供の関係が良好でなく、親として関わる場合。
②同居する親に不安があるが、児童相談所の一時保護の必要性がないとき
⑤当初は葛藤が強かったが、途中で感情的対立が解消し、共同が可能になるケース
この5つの類型は、こんな場合、本当にあるの?と思われる類型である。
別居親に同居親を監督させる場合 ①と②
①と②は、そもそも親権者として指定した親に問題がある場合である。同居する親と子供の関係が良好でないとか、親として不安だが、一時保護の必要性はないというような場合は、そもそも、その親を親権者と指定しなければいいだけの話であるとも思える。
ただ、実務では、双方に親権者として問題があり、消去法で一方にせざるを得なかったというケースがある。例えば、確かに子供はなついているが、その親の生活態度や交友関係に問題があり、監視の必要があるという場合が、相応にある。父母共に問題があるが、こっちの方が多少はマシな場合もある。こういう場合は、今までは面会交流を通じて監視するようにしていたが、面会交流による監督では限界があった。そこで、やむを得ない場合に、親権監護権を分離するというイレギュラーな方法で対応していたが、今後は、共同親権という形で、別居親にコントロールしてもらうことになる。
また、親の養育態度に極めて問題があるが、別居親が諸々の事情で子どもを引き取れない。しかし、児相レベルでないため、児相が引き取らないという場合も、共同親権という形で、別居親にコントロールしてもらうことになる。
共同親権を強制しても、あまり問題がない場合 ③と④、
上記③④は、①②と違い、あまり想定できないケースである。こんなケースで審判になるのが、どれくらいあるのか。
父母間の感情と親子の感情を切り分けることができるという③のCASEは、夫婦としては喧嘩ばかりしているが、親としては協力し合える関係ということだろう。しかし、親としては協力し合える関係なら、合意で共同親権にすれば済むだけの話で、逆に、合意ができないということは、。親として協力し合える関係にないということである。にもかかわらず、審判で共同親権を強制すべき場合があるのか?おそらく、共同親権は合意しているが、他の件で微妙に合意できず、代わる審判を出す場合を想定しているのだろうか。
支援団体等を養成して協力することができるという④のケースは、現実にあり得ないように思われる。支援団体というのはFPICなどだろうが、FPICは、合意ができたことを前提としてその履行を助けるものである。審判で無理やり親権の共同行使を命しても、FPICが関わるはずがない。
当初は葛藤が強かったが、途中で感情的対立が解消し、共同が可能になるときという⑤は、調停委員の働きかけで。感情的対立が和らぎ、両親間の緊張関係がほぐれた場合だろう。しかし、それなら、調停を成立させればよい。調停が成立しないということは、感情的対立が解消していないことである。
結局、共同親権を命じられるのは、監護者に問題があり、それを他の親に監視させる場合が主ということになる。
まあ、それでも、不仲な両親に無理やり親権の共同行使を命ずることは、両親の監護能力に問題がない限り、ほとんどないことは確かである。
