熟年離婚と卒婚のご相談
熟年離婚について
熟年離婚そのものは法律用語ではなく、TVドラマ「熟年離婚」をきっかけに広まった用語で、明白な定義はありません。
一応、ここでは、①夫が会社員なら定年か定年間近の年齢で、②子供がいる場合は、子供が成人するか成人間近で、③若いときから婚姻生活をしてきた夫婦の離婚と定義します。
この熟年離婚は、年金分割と財産分与の1/2ルールの確立で、近年、増加傾向にあります。
この熟年離婚では、夫婦間である程度の財産があるときは財産分与が問題となり、これという財産がないときは老後の貧因問題となります。また双方の住居をどう確保するかも問題になります。
ただ、最近は、離婚ではなく、卒婚を選択する夫婦が増えています。
元東京家裁調停委員の視点から
熟年離婚の多くは、妻からの請求ですが、夫からすると、青天の霹靂という場合がほとんどです。夫は、たいていきちんと会社勤めをし、家族の生活を支えてきた人たちばかりで、浮気や暴力もなく、昭和世代の価値観に立つ夫には、その理由がわかりません。
一方、妻からすると、やたらと上から目線の家庭内上司みたいな夫とは、これ以上共同生活を送るのは精神的に限界であり、絶対に離婚するという強い決意の上での行動です。
妻からの離婚請求の場合、夫は、徹底抗戦する場合が多いです。
これに対し、夫からの離婚請求の場合、これ以上、妻から口うるさく言われるのはたまらない、せめて余生は一人で気ままに生活したいと思い詰め、離婚請求します。この場合、妻は、もともと夫に愛想をつかしている場合が多く、退職金も年金も財産も半分になるなら、離婚は大歓迎という場合が多いですね。
共通するのは、夫にせよ、妻にせよ、離婚請求する側は永年のモラハラに耐え、離婚請求される側は、無意識のうちにモラハラ行為を繰り返してきた場合です。
東京家裁では、熟年離婚の場合は、別居期間に関係なく、離婚を積極的にすすめるというパターンが多いという話を聞いたことがあります。というのは、熟年離婚は、離婚請求する側も、自分の今までの人生を否定することになりますが、それでも、自由になりたいという想いを抱くのは、やはり、相当忍従の日々だったと推測されるからです。