パーソナリティ障害のご質問とアドバイス
パーソナリティ障害と離婚
【境界性パーソナリティ障害】
普段は温厚なのに、些細なことで激昂する性格です。調停でも、当初は、非常に従順で時には涙さえ見せるのに、調停委員が多少批判めいたことを言うと、突然激高し、異常な反発を見せます。女性は男性の倍以上と言われています。
結婚前は、多少短気な人だが、所帯を持てば落ち着くだろう、と思って結婚する。予想通り優しく、しばし幸せな結婚生活を送ります。ところが、些細なことで意見が対立すると、突然、激高し、配偶者を精神的に追い詰めるようになります。しかし、しばらくすると反省し、今度は、謝罪して償いをしようと徹底的に優しくなります。
こういうことが繰り返されると、配偶者は、自然と相手の顔色をうかがいながら生活するようになり、息苦しい日々を送ることになります。そして、ついに離婚に踏み切ることになります。境界性パーソナリティ者は、人一倍、他人からの愛情を求め、「愛に飢えている人」ともいわれます。この飢えの反動が、激昂という異常行動に走ると言われています。
【自己愛性パーソナリティ障害】
男性に多いのが自己愛性パーソナリティ障害です。モラハラの場合、障害というレベルには達していないが、この傾向が顕著な場合が多いです。
この自己愛性パーソナリティは、「モラハラ」の項目をご覧ください。
【依存性パーソナリティ障害】
依存性パーソナリティ障害とは、要するに「見捨てられることに対する不安感が病的なレベルで強い人」で、境界性パーソナリティ障害と、同様の症状が出ます。
この「傾向」の人は少数ですが、予測不能な行動をとるため、対応が難しい場合があります。
参考【自己愛性パーソナリティ障害】
成人期早期までに始まり、以下のうち5つ、またはそれ以上が存在すると認められることによって診断される。
①自分の重要性や才能について、誇大な、根拠のない感覚を抱いている(誇大性)。
②途方もない業績、影響力、権力、知能、美しさ、または素晴らしい恋という空想にとらわれている。
③自分が特別かつ独特であり、最も優れた人々とのみ付き合うべきであると信じている。
④無条件に賞賛されたいという欲求をもっている。
⑤特権意識をもっている。
⑥目標を達成するために他者を利用する。
⑦共感性に欠けている。
⑧他者を嫉妬しており、また他者が自分を嫉妬していると信じている。
⑨傲慢かつ横柄である。
【境界性パーソナリティ障害の判断基準】
成人期早期までに始まり、以下のうち5つ、またはそれ以上が存在すると認められることによって診断される。
①現実に、または想像の中で見捨てられることを避けようとする気も狂わんばかりの努力(注:⑤の自殺行為または自傷行為は含めないこと)
②理想化と脱価値化との両極端を揺れ動くことによって特徴づけられる不安定で激しい対人関係様式
③同一性:著明で持続的な不安定な自己像や自己観
④自己を傷つける可能性のある衝動性で、少なくとも2つの領域にわたるもの(例:浪費、性行為、物質濫用、無謀な運転、むちゃ食い)
⑤自殺の行為、そぶり、脅し、または自傷行為のくり返し
⑥顕著な気分反応性による感情不安定性(例:通常は2 – 3時間持続し、2 – 3日以上持続することはまれな強い気分変調、いらいら、または不安)
⑦慢性的な空虚感
⑧不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難(例:しばしばかんしゃくを起こす、いつも怒っている、取っ組み合いのけんかをくり返す)
⑨一過性のストレス関連性の妄想様観念、または重篤な解離性症状
【依存性パーソナリティの判断基準】
成人期早期までに始まり、以下のうち5つ、またはそれ以上が存在すると認められることによって診断される。
①他者からの過剰な量の助言や安心なしに日常的判断を下すことが困難である。
②生活の重要な側面の大半について他者に責任を負ってもらうことを望んでいる。
③支援や承認を失うことを恐れることから、他者との意見の不一致をなかなか口にできない。
④自分の判断力や能力に自信がないあまり(意欲や気力がないためではなく)、一人で計画を始めることに困難がある。
⑤他者からの支援を得るために、進んで多大な労力を払う(例えば、不快な課題をこなす)。
⑥自分の面倒を見ることができないことを恐れるあまり、一人でいるときに居心地悪く感じたり、無力感を覚えたりする。
⑦親密な関係が終わったときに、世話や支援を与えてくれる人と新たな関係を築く差し迫った必要性を感じる。
⑧一人にされて自分の面倒をみることになる恐れにとりつかれている。
【反社会性パーソナリティ障害】
A. 他人の権利を無視し侵害する広範な様式で、15歳以上で起こっており、以下のうち3つ(またはそれ以上)によって示される。
1、法にかなった行動という点で社会的規範に適合しないこと。これは逮捕の原因になる行為を繰り返し行うことで示される。
2、虚偽性、これは繰り返し嘘をつくこと、偽名を使うこと、または自分の利益や快楽のために人をだますことによって示される。衝動性、または将来の計画を立てられないこと。
3、いらだたしさおよび攻撃性、これは仕事を安定して続けられない、または経済的な義務を果たさない、ということを繰り返すことによって示される。自分または他人の安全を考えない無謀さ。
4、一貫して無責任であること。これは仕事を安定して続けられない、または経済的な義務を果たさない、ということを繰り返すことによって示される。
5、良心の呵責の欠如、これは他人を傷つけたり、いじめたり、または他人のものを盗んだりしたことに無関心であったり、これを正当化したりすることによって示される。
B. その人は少なくとも18歳以上である。
C. 15歳以前に発症した素行症の証拠がある。
D. 反社会的な行為が起こるのは、統合失調症や双極性障害の経過中のみではない。