DV・モラハラ問題のご質問とアドバイス|森法律事務所

DV・モラハラ問題のご質問とアドバイス

この記事の目次

DV冤罪の方へ

Q1 DV冤罪って多いの?

Q2 なぜそんなに冤罪が多いのですか?

Q3 DV冤罪の男性は、どうすればよいのですか

Q4 避難した妻から裁判所に保護命令を申し立てられましたが、何の暴力もふるっていません。どうすれば良いですか

女性が被害者の場合の相談室

Q1 DVの特徴は?

Q2 DV加害者は、どういうタイプが多いですか?

Q3 DV加害者を矯正させる方法はありますか?

Q4 反社会性パーソナリティの傾向が強い夫とは、どういうタイプですか?

Q5 夫が反社会性パーソナリティ障がいか否かは、どのように判断するのですか?

Q6 夫が暴力的なDVの場合、どうすればいいですか?

Q7 夫は、言葉の暴力がひどく、精神的に限界です。しかし、夫は、有能で良心的な医師として患者から信頼されているため、周囲に相談しても、なかなか信じてもらえません。

Q8 Q7のケースで、精神的DVを理由として離婚できますか?

Q9 不貞をし、以来、夫から執拗に暴力を受けています。DVを理由として離婚出来ますか?

Q10 DVを証明するには何が必要ですか?

Q11 DV事件で弁護士として一番難しいのはどの点ですか?

Q12 夫が暴力をふるったので警察が逮捕してくれました。しかし、周囲は、円満に離婚するために告訴しない方がいいといっています。

Q13 言葉の暴力、精神的虐待を理由とした慰謝料請求を求めたいのですが。

Q14 DVだと保護命令がもらえるそうですが、どのようなものですか?

DV保護命令QA

Q1 〔保護命令〕性的暴力・精神的DVを理由として保護命令をもらえますか?

Q2 いきなりDV保護命令の申し立てができますか?

Q3 相手がDV保護命令を無視したらどうなりますか?

Q4 被害者が未成年の場合、被害者がDV保護命令を申し立てることができますか?

Q5 相手に住所を知られたくない場合はどうすればよいですか?

Q6 恋人からのDVにも保護命令がもらえますか?

Q7 被害者の子どもや親族への接見禁止命令を単独でできますか?

Q8 家から子供と逃げ出したが、家で子供と暮らしたい。DVの退去命令で、夫を家から追い出すことができますか?

Q9 〔保護命令〕脅迫だけでも保護命令をもらえますか?

Q10 過去生命等に対する脅迫を受けたものが、さらに同様の脅迫を受けるおそれがあることを理由として保護命令をもらえますか?

Q11 離婚後に暴力を受けた場合に、保護命令を申し立てることができますか?

Q12 恋人と同棲していたが、別れたのち、暴力を受けた。DV保護命令を申し立てることができますか?

Q13 暴力をふるう同棲相手の男性から逃げて実家に避難した。DV保護法は適用されますか?

Q14 恋人と同棲したが、すぐに暴力が始まり、翌日、実家に逃げました。DV保護法は適用されますか?

Q15 生活の本拠を共にしたことは、どのように立証すればよいでしょうか?

Q16 同性同士の場合でも、「生活の本拠を共に」していると認められるか?

Q17 「生活の本拠を共にする交際相手」の場合、交際の解消を申し出ただけで、DV保護命令を申し立てることができますか?

女性が被害者の場合の相談室

Q1 DVの特徴は?

A1 対等な配偶者でありながら、暴力的、経済的、精神的に相手を一方的に支配しよとする一切の行為です。

DVというと殴る、蹴る等の肉体的暴力が典型ですが、その他に、経済的価値観を押し付けようとして不十分な生活費しかわたさない、怒鳴る、暴言を吐く、無視する等、自分の価値観を押し付け、支配する一切の行為を指します。

Q2 DV加害者は、どういうタイプが多いですか?

A2 粗暴なタイプか自信過剰なタイプです。

DVの配偶者は、二つのタイプがあります。
一つは、性格が粗暴で反社会性パーソナリティの傾向が強い人です。このタイプの人は絶えず周囲と衝突し転職を繰り返したりします。反社会性パーソナリティタイプの人は、DVは、肉体的暴力となってあらわれます。
もう一つは、自信過剰なタイプで自己愛性パーソナリティの傾向が強い人です。このタイプの人は、逆に周囲を組織化し、その指導的立場にたつこともあります。自己愛性パーソナリティタイプの人は、それ以外の経済的DV、精神的DVとなってあらわれます。
対照的なタイプですが、この両者が混在している場合もあります。
ただ、両者の混合型も多く、妻を熱心に「指導」しようとして、手を出す場合もあります。

Q3 DV加害者を矯正させる方法はありますか?

A3 被害者の「怯え」を認識してもらうことですが、ほぼ不可能です。

DV案件は、被害者の「怯え」を夫が認識できれば、大体、解決します。DV事件の最大の原因は、夫が、いかに自分が怖がられているかを認識できていないからです。
しかし、加害者に、被害者の「怯え」を認識させることは、ほぼ不可能です。加害者にはいくら言っても、「正しいことを指導した」「他に男がいるんだろう」とか「自分と子供を引き離すための作戦だ」「弁護士や実家が、二人の間の関係を裂こうとしている」という認識で、自分の言動が妻子を恐怖に陥れているという認識ができません。
うちの事務所では、DVの加害者から相談を受けることもあります。冤罪の場合もあれば、「あ、この人はDV加害者だな」とわかる場合もあります。ただ、加害者と思われる人に、いくら配偶者の「怯え」を指摘しても、相談者は理解してくれません。

Q4 反社会性パーソナリティの傾向が強い夫とは、どういうタイプですか?

A4 妻の権利や感情に極めて鈍感な人です。

反社会性パーソナリティとは、他者の権利や感情を無神経に軽視するパーソナリティで、「他者を支配して奪い取ることを何とも思わず、所有欲や支配欲・猜疑心が非常に強く、目的達成のためには手段を選ばない」という配偶者です。それが病的なレベルに達した場合が反社会性パーソナリティ障がいです。男性に圧倒的に多い障害です。
このタイプは、ともかく妻や家族を支配したがります。妻や子供の人格とか人権にはまるで無関心。というよりも、完全に無視。なかには、自分は色々理屈をつけて働かず、金をむしりとるヒモになったり、妻を完全に支配下に置いて自分の意のままに動かそうとします。妻が逃げ出すと執拗に逃げた妻を追いかけます。最悪の場合は、要求がかなわないとみるや、妻や親族、さらには弁護士にまで暴力をふるい、最悪の場合は殺人事件になります。もちろん、離婚は断固拒否します。パーソナリティが病んでいるため、自分の行動の異常さが理解できないのです。ここまで来ると、反社会性パーソナリティ障がいで、パーソナリティが完全に病んでいると考えるよりほかありません。

Q5 夫が反社会性パーソナリティ障がいか否かは、どのように判断するのですか?

A5 DSM‐5による反社会性パーソナリティ障がい(Anti-social Personality Disorder)により診断します。

米国精神医学会診断基準によれば、診断基準は、以下の通りです。(ただし、この診断へのあてはめは非情に難しく、素人では無理です。) 記

A. 他人の権利を無視し侵害する広範な様式で、15歳以上で起こっており、以下のうち3つ(またはそれ以上)によって示される。
1、法にかなった行動という点で社会的規範に適合しないこと。これは逮捕の原因になる行為を繰り返し行うことで示される。
2、虚偽性、これは繰り返し嘘をつくこと、偽名を使うこと、または自分の利益や快楽のために人をだますことによって示される。衝動性、または将来の計画を立てられないこと。
3、いらだたしさおよび攻撃性、これは仕事を安定して続けられない、または経済的な義務を果たさない、ということを繰り返すことによって示される。自分または他人の安全を考えない無謀さ。
4、一貫して無責任であること。これは仕事を安定して続けられない、または経済的な義務を果たさない、ということを繰り返すことによって示される。
5、良心の呵責の欠如、これは他人を傷つけたり、いじめたり、または他人のものを盗んだりしたことに無関心であったり、これを正当化したりすることによって示される。

B. その人は少なくとも18歳以上である。
C. 15歳以前に発症した素行症の証拠がある。
D. 反社会的な行為が起こるのは、統合失調症や双極性障害の経過中のみではない。

Q6 夫が暴力的なDVの場合、どうすればいいですか?

A6 弁護士にその後の処理を頼むと同時に、ともかく避難しましょう。

配偶者が、こういうタイプの場合は、ともかく逃げるしか方法がありません。
弁護士・警察・配偶者暴力相談支援センターに相談→家を出てシェルターに避難→DV保護命令の発動→離婚訴訟(調停)というのが普通のパターンです。
DVの場合、弁護士を窓口にして交渉しましょう。
なお、シェルターに入ると、その期間、弁護士も含めて外界との連絡が全くとれなくなります。子供も学校にも行けなくなります。安全な場所が確保できるなら、その場所の方がいいかもしれません。
またDVの場合は、調停を経ずに、いきなり訴訟からできます。その際の準備などは、ホームページをご覧下さい。
ただ、現実には、怖くて逃亡できない人が少なくありません。「逃げても追いかけてくる」「自分が逃げたら家族に何をされるかわからない」等々。そのまま相談を受けて、暴力男のところに戻ることもあるし、法的な手続きの途中で事件を取り下げることもあります。
やはり、周囲の精神的支援が大切です。

Q7 夫は、言葉の暴力がひどく、精神的に限界です。しかし、夫は、有能で良心的な医師として患者から信頼されているため、周囲に相談しても、なかなか信じてもらえません。

A7 社会的評価の高い方々に、意外とDVが多いのです。

DVは、反社会的パーソナリティタイプ以外に、自己愛性パーソナリティタイプにも見られ、弊所で扱う案件では、反社会的パーソナリティタイプよりは、このタイプのDVのほうが遙かに多いです。高学歴・高地位・高収入の方々、あるいは熱心に社会活動に没頭する方々で、自分に対する自信が非情に強い方々です。このパーソナリティの方々は、「自分と考え方が異なる=相手が間違えている」と思いこみます。それは、妻との関係では、「妻の考えと自分の考えは違う→妻は間違えている→妻は自分より劣っている→妻を教育指導する必要がある→指導する=精神的・経済的DV」という流れを辿ることになります。
このタイプは、「自ら顧みてなおくんば、千万人ともいえども我行かん」(孟子)
というタイプなので、社会的には成功することもありますが、家庭生活では、それがマイナスになります。
こういうタイプは、自信過剰で、自己のDV性を自覚できません。妻が問題にするパーソナリティが、社会では「立派な人格者だ」と賞賛されているからです。 反社会性パーソナリティタイプよりも、さらに面倒です。

森法律事務所の取り扱い例(03-3553-5916
当事務所に関する限り、粗暴な夫もいますが、件数的には、社会的に地位が高く、社会的に尊敬されている方のほうが圧倒的に多いです。 しかも、こういう人ほど自信過剰で、自己のDVを自覚できない方がほとんどです

Q8 Q7のケースで、精神的DVを理由として離婚できますか?

A8 精神的DVが認められるなら離婚できます。

肉体的な暴力があれば離婚できるのは当然として、精神的DVも、支配服従の関係がある以上、離婚出来ます。
ただし、客観的に見て、精神的DVというよりは、単なる夫婦喧嘩の口論となると、裁判所は性格の不一致と考えます。
また肉体的暴力の場合は、慰謝料は認められますが、精神的DVとなると、かなり微妙です。
性格の不一致か精神的DVかは、当事者の行動やメール等から、支配服従の関係があったかどうか総合的に判断します。

森法律事務所の取り扱い例(03-3553-5916
精神的DVを理由として離婚が認められた例は、当事務所に関する限り、無数にあります。ただ、そこから慰謝料まで求めるとなると、精神的DVでは、限定されています

Q9 不貞をし、以来、夫から執拗に暴力を受けています。DVを理由として離婚出来ますか?

A9 できます。何の問題もありません。

配偶者暴力が妻の不貞を契機とすることはよくあります。しかし、不貞をしたからと言ってDVをしてよいことにはなりません。妻の不貞に対する抗議のレベルを超えてDVになるときは、離婚出来ます。
ただし、それにより不貞の違法性がなくなるわけではなく、不貞の慰謝料も支払うことになります。

森法律事務所の取り扱い例(03-3553-5916
DV被害者に不貞がある場合でも、当事務所に関する限り、大体、離婚は認められています。不貞慰謝料はやむをえませんが、同時にDVを理由とした慰謝料請求もできますので、和解で双方請求なしで終わらせた例は数多いです。

Q10 DVを証明するには何が必要ですか?

A10 客観的な書証があるのが理想ですが、なくても構いません。

はたしてDVがあったのか、なかったのか、密室の出来事なので、相手方が否認すると立証は難しくなります。
医師の診断書はもちろん、それがなくても、警察に相談に行き、あるいはトラブルで警察を呼んだ時の記録を警察に開示してもらえば、それが有力な証拠になります。また各地の婦人相談所等の配偶者暴力相談支援センターに相談していた際の記録も開示してもらえばDVの有力な証拠になります。
いずれ逃げようと準備を始めたときは、できるだけ公共機関に相談に行き、相談実績を残しておいたほうがいいでしょう。
日記・メール等は、ケースバイケースです。
これらの書証がなくても、シェルターに避難した等、DV被害者として自然な行動があれば、DVを認定してくれます。
また夫に、やたらと妻と会いたがる等のDV加害者特有の行動があれば、DVを認定してくれます。

Q11 DV事件で弁護士として一番難しいのはどの点ですか?

A11 被害者の女性にDV被害者であることを自覚させることです。

女性がDVの被害者の場合、難しいのは、被害者自身が「自分が被害者であること」を自覚できないケースがかなりあることです。
「相手の暴力は自分の落ち度のせい」
「彼がああなったのは、自分が至らないからだ」
「子供のためにも、自分さえ我慢すればよい」
等々。
これは、執拗な暴力、態度や言葉で威嚇されたりして、DVが継続的に行われているために、自分にも落ち度がある、と思い込まされてしまっているからです。弁護士としてのDV事件の最初の仕事は、被害者に被害者であることを自覚させることですが、これが難しい。
反面、お互いに手を出している夫婦喧嘩をDVだと主張する方も、それなりにいます。

Q12 夫が暴力をふるったので警察が逮捕してくれました。しかし、周囲は、円満に離婚するために告訴しない方がいいといっています。

A12 告訴すべきです。加害者が自己のDVをさらに認識できなくなります。

DV被害者である妻が警察に被害を訴えると警察は必ず「告訴するか、しないか」を問うてきます。告訴しないとする妻の方が多いのですが、告訴しないことについて、被害者と加害者の認識は大きく食い違っています。
[告訴しない妻の認識]
被害者の妻は、「逮捕されて反省くらいはしている。ここで許してやれば、離婚には素直に応じてくれるだろう。今後のことを考えると、あまり追い詰めない方がいい。」と考えます。 [加害者の認識]
ところが加害者の考えは180度違います。加害者の考えは以下の通りです。
①夫婦仲は良かった。(←支配服従関係が成立していたため、円満そうに見えていたにすぎないのだが、このことを説明しても、ほぼ全員認識できない)
②妻は、本当は復縁したいのだが、周囲(両親、弁護士、警察等)が、妻をそそのかして、復縁を阻止している。
③しかし、さすがに妻も、告訴まではやりすぎと反省し、告訴しなかったのだろう。
つまり、加害者の夫は、被害者が刑事手続きを取らなかったことを、「自分にDVの冤罪を科した反省と謝罪」と受け取ります。妻の復縁希望の意思の兆候と受け止めてしまうのです。少なくとも、告訴しなかったことに対する感謝の気持ちを持つ者はいません。こういう状況で、刑事告訴をしないと、加害者には、「妻は本当は復縁したいんだ」という誤ったシグナルを与えることになります。
DV被害者が、今後の協議を円満に話し合うために被害届を出さず、あるいは告訴しないということは、ほとんどの場合、逆効果になります。

Q13 言葉の暴力、精神的虐待を理由とした慰謝料請求を求めたいのですが。

A13 難しいケースが多いです。

平成25年度の東京家裁の判例を統計的に整理すると、言葉の暴力とか精神的圧迫等の精神的虐待を理由とした慰謝料請求の認容率は13%程度(平均40%)であり、認容平均額は100万円(平均150万円)程度と低くなっています。 請求が棄却されるケースは、客観的な資料がなく、言葉の暴力や精神的圧迫がそもそも認定できない場合、そもそも慰謝料が発生するほどの暴言、精神的DVではない場合ありますが、一番多いのが精神的DVまがいの言動はあるが、夫婦双方に見られる場合です。
ただ、弊所の経験では、被害の程度は、肉体的DVよりも精神的DVの方が、「痛い」よりは「怖い」のほうが、精神的苦痛は、はるかに深刻です。

Q14 DVだと保護命令がもらえるそうですが、どのようなものですか?

A14 裁判所から加害者に対して発令されるもので、①接近禁止命令②退去命令③電話等禁止命令④被害者の子への接近禁止命令⑤被害者の親族その他被害者と社会生活において密接な関係を有する者への禁止命令があります。

詳細は、以下の[DV保護命令QA]をご覧下さい。

DV保護命令QA

森法律事務所(03-3553-5916)の取り扱い例
DVの場合、加害者に特有な行動があり、これを証明すると、裁判所は物証がなくてもDVを認定します。このような案件は、多数扱っています。 ただ保護命令となると、やはり書証が必要なケースが多く、初期に相談に来られた方には、家を出る前に当事務所から必要な準備を指示するので、大体、保護命令をもらえます。


DV保護命令QA

Q1 〔保護命令〕性的暴力・精神的DVを理由として保護命令をもらえますか?

A1 できません。

DV保護命令の対象は、
1、夫婦関係継続中(事実婚を含む)に
①身体に対する暴力
②生命・身体に対する脅迫
があり、
2、今後、身体に対する暴力を振るわれて生命や身体に重大な危害を受けるおそれが大きいとき
に限って認められます。
ただし、性的暴力でも、性行為の強要等、暴力的な性行為は身体に対する暴力として保護の対象になります。対象にならないのは、人格否定のような暴言、避妊に協力しない、いやらしい映像を無理やり見せる等の精神的性暴力です。
また精神的暴力でも、これを機にPTSD等の精神疾患が発症すれば対象になります。
性的暴力・精神的DVでも、DV保護センターの保護の対象にはなります。
保護命令は無理でも、接見禁止等の一般的な仮処分は可能です。

Q2 いきなりDV保護命令の申し立てができますか?

A2 できません。

DV保護命令を申し立てるには、
①配偶者暴力相談支援センターに相談に行く。
②警察(できれば生活安全課)に相談に行く。
③公証人の面前で陳述書の記載が真実であることを宣誓した宣誓供述書を作製する。
①と②の場合は、相談したことを申立書に記載し、
③の場合は、申立書に宣誓供述書を添付する。
ことが必要です。一般的には①か②が多いです。

森法律事務所の取り扱い例(03-3553-5916 当事務所では、ノウハウを蓄積していることから、保護命令が出るか出ないか事前に大体予測できます。保護命令の却下は、何かとあとをひきますので、できれば申請前に相談してください。不足書類等についてアドバイスします。

Q3 相手がDV保護命令を無視したらどうなりますか?

A3 刑事罰を受けます

民事判決の命令を無視しても刑事罰を受けることはありませんが、保護命令だけは、刑事罰の対象になり、逮捕・勾留される。法定刑は、懲役1年または100万円以下の罰金です。 この刑事罰は、命令無視の場合は、ほぼ発動されます。

Q4 被害者が未成年の場合、被害者がDV保護命令を申し立てることができますか?

A4 できません。

DV保護命令は、その性質に反しない限り、民事訴訟法の規定を準用する(DV法21)から、法定代理人が申し立てることになります。

Q5 相手に住所を知られたくない場合はどうすればよいですか?

A5 現実の居住地を記載する必要はありません。

本来は、現実の居住地を記載するのが原則ですが、DV関連事件は、住民票上の住所地、あるいは相手方との最後の住所地でもよいことになっています。

Q6 恋人からのDVにも保護命令がもらえますか?

Q6 もらえます。

ただし、「生活の本拠を共にする」「デートDV」に限られます。
自分がデートDVの被害者かどうかのチェックポイントを以下に記載しておきます。
□異性と話すだけで怒られる、不機嫌になる。
□同性の友人との交流も、厳しく制限される。
□自分の行動をいつも監視・監督され、束縛されている。
□相手は友人が極端に少ない。
□暴力をふるう。
□性的な行為を強制する。
□暴力はお前のせいだと責任転換される、それで自分のせいだと悩む。
□相手からの連絡の対応が遅れるだけで、相手が怒る。

Q7 被害者の子どもや親族への接見禁止命令を単独でできますか?

A7 できません。

あくまでも被害者本人への接見禁止を確保するために付随する制度として、被害者への子どもや親族への接見禁止命令が認められています。電話等禁止命令も同様です。
なお、「子供への接見禁止命令」は子の連れ去りを防止するためのものですから、すでに成人した子や、別居している子は、「子供への接見禁止命令」の対象から外れます。ただし、成人した子や、別居している子も、親族への接見禁止命令の対象にはなります。

Q8 家から子供と逃げ出したが、家で子供と暮らしたい。DVの退去命令で、夫を家から追い出すことができますか?

A8 できません。

DV保護命令の退去命令は、あくまでも、何も持たず家を逃げ出した場合に、衣類等引越の準備をするために、その間、一時的に退去させる保護命令です。
その家に住みたいなら、財産分与の問題として処理するしかありません。

Q9 〔保護命令〕脅迫だけでも保護命令をもらえますか?

A9 もらえる場合ともらえない場合があります。

DV保護法の「脅迫」は、脅迫行為なら何でもよいというものではなく、刑法上の脅迫罪に該当するレベルのものでなければなりません。
また、そのレベルでも、「生命または身体に対し害を加える旨を告知する脅迫」に限られます。例えば、「殺してやる」とか「ぶんなぐるぞ」みたいな脅迫です。
ただ、録音テープ等の客観的証拠がないと裁判所は簡単に認定しません。実務的には、暴力に加えて脅迫が主張されることが多いです。

Q10 過去生命等に対する脅迫を受けたものが、さらに同様の脅迫を受けるおそれがあることを理由として保護命令をもらえますか?

A10 もらえません。

DV保護法10条1項本文では、過去、生命等に対する脅迫を受けた場合でも、今後も脅迫が行われるおそれがあるだけでは駄目で、「身体に対する暴力により、その生命または身体に重大な危害を加えるおそれがある」ことが必要とされているからです。文理上、厳しい制限が課されています。

Q11 離婚後に暴力を受けた場合に、保護命令を申し立てることができますか?

A11 できません。

DV保護法10条1項本文によれば、DV保護命令は、あくまでも、夫婦関係継続中の行為を対象にしています。婚姻中に暴力を受け、離婚後も暴力を受けるおそれがある場合はともかく、婚姻中に暴力や脅迫がなく、離婚後に暴力があった場合は、DV保護は受けられません。この場合は、刑事告訴や接見禁止等の一般的な仮処分で対処することになります。

Q12 恋人と同棲していたが、別れたのち、暴力を受けた。DV保護命令を申し立てることができますか?

A12 できる場合とできない場合があります。

同棲中に暴力を受け、同棲解消後も暴力を受けたらDV保護命令は可能ですが、同棲中に暴力はなく、解消後に暴力があった場合は対象になりません。ただ、接見禁止等の一般的な仮処分は可能です。

Q13 暴力をふるう同棲相手の男性から逃げて実家に避難した。DV保護法は適用されますか?

A13 別居後相当期間を経過していない限り、できます。

婚姻関係・内縁関係がなくても、生活の本拠を共にする交際なら、DV保護法の対象になります。しかし、別居して相当期間が経過すれば、「生活の本拠を共にする」とは言えませんから、DV保護法の対象になりません。 例えば、実家に逃げていたり、シェルターに緊急避難している場合は、DV保護法の対象になりますが、居住目的で別に部屋を借りて相当期間を経過している場合は、対象になりません。

Q14 恋人と同棲したが、すぐに暴力が始まり、翌日、実家に逃げました。DV保護法は適用されますか?

A14 できます。

「生活の本拠を共に」しているか否かは、物理的に決まるものではない。同棲して一日でも、「生活の本拠を共に」していると言えます。ただ、同棲期間が長いほど、「生活の本拠を共にする」と認められやすいと言えます。
逆に、住民票上は同一でも、同居の実態がないときは、DV保護法の対象になりません。

森法律事務所の取り扱い例(03-3553-5916
実は、同居した恋人がこわく、逃げ出したいとか、別れても執拗にあとを追いかけるという相談は、かなり多いです。保護命令の適用範囲は限られていますが、他に対処方法があるので、早期に弁護士に依頼してください。この点についても、数多くの取り扱い例があります。

Q15 生活の本拠を共にしたことは、どのように立証すればよいでしょうか?

A15 それほど厳密な証拠は必要でありません。

ポイントは、婚姻関係において一般的に見られる共同生活と、どの程度、類似性があるかです。単なるルームシェアは除かれますが、将来の婚姻意志は不要です。 婚姻関係における住民票の記載、賃貸借名義(同居人に賃借人以外の名前が記載されている場合)、公共料金の支払い名義、同居していたときの写真や同居を前提としたメールのやりとり、本人や関係者の陳述書等で、総合的に認定できればよいでしょう。

Q16 同性同士の場合でも、「生活の本拠を共に」していると認められるか?

A16 難しいと思います。

憲法では、「婚姻は両性の合意により」とあり、現行法は、この憲法の規定を前提として立法化されています。同性の場合は、現行法上、適用はないと解するほかはありません。

Q17 「生活の本拠を共にする交際相手」の場合、交際の解消を申し出ただけで、DV保護命令を申し立てることができますか?

A17 できません。

婚姻関係にない男女で生活の本拠を共にする交際相手の場合、生活の本拠を共にする交際を現実に解消する必要があります。解消を申し出ただけでは、保護命の対象になりません。

DV被害の男性の方へ

DV被害は、女性と同数くらい男性にもあります。
ただし、女性によるDVは、男性によるDVのように、殺人等の重大な結果に至ることが少なく、女性が被害者の場合とは認定基準が違います。
DV被害を訴える場合は、この点を意識して、準備をしましょう。

DVの証明に要求される程度

女性が被害者の場合は、ある程度、緩やかな認定が行われます(反面、冤罪が多いです)。これに対し男性が被害者の場合は、かなり厳格な証明を要求されます。
男性がDVを証明しようとしたら、写真はもちろん、録音テープ、警察への相談記録等、弁護士と相談しながら、緻密な準備をする必要があります。

刑事事件化

女性が被害者の場合は、素手でも暴力行為があれば立件されます。しかし、男性が被害者の場合は、武器を使用しないと、なかなか刑事事件化してくれません。

子供との面会

男性がDV加害者の場合、子供との面会には家裁は消極的です。女性がDV加害者の場合、積極的に面会させます。

この違いは、男女逆差別ではなく、男性によるDVと女性によるDVの本質的な違いです。男性によるDVは、女性を支配しようとし、その支配に対する抵抗を押さえるために暴力をふるいます。その結果、逃げる女性を追いかけ、何としても、支配を継続しようとします。これに対し、女性によるDVは、感情的にカッとなって手を出すというパターンが多く、支配の手段としての暴力はレアケースです。

男性が被害者のDVは、より緻密な立証が要求されます。初期の段階から弁護士に相談されることをお勧めします。

森法律事務所の取り扱い例(03-3553-5916
男性が被害者のDV案件は多数扱っていますが、裁判所は、女性が被害の場合と比べるとかなり温度差があります。ただ緻密な立証を行えば、認定してくれます。

DV冤罪の方へ

Q1.DV冤罪って多いの?

かなり多いです。

DV冤罪は日常的な現象です。主として女性からするDV保護命令申立について、かなりの割合で冤罪があり、事務所の取扱件数から推測すると、3~4割は冤罪です。 ただし、加害者が冤罪という場合には、真実冤罪である場合と、本当はDVなのに、 自分で自覚できない場合があります。

森法律事務所の取り扱い例(03-3553-5916
DV防止法を悪用する女性が多いのが現実です。これにより子供と父親との面会交流を阻止でき、国のほうで衣食住も確保してくれるからです。
ただ、裁判所も、その辺は心得ています。被害者の方や加害者の方の行動パターンがDVの特徴を備えていないことを当事務所で指摘すれば、保護命令は却下されることが多いです。当事務所では、数多くの保護命令却下の決定を得ています。

Q2.なぜそんなに冤罪が多いのですか?

重大なDV被害を防ぐためです。

DV加害者と認定されることにより、社会的な評価も著しく毀損されるばかりか、子供と強制的に隔離されてしまいます。冤罪により受ける不利益は、甚だしいものがあります。
しかし、もし保護命令を発令すべき時に間違えて発令しなかった場合は、殺人等、とりかえしのつかない被害が発生するリスクがあります。
裁判所は、DV被害者が女性の場合は、どうしても「疑わしきは保護命令を出す」ことになるのです。

Q3.DV冤罪の男性は、どうすればよいのですか

DVに詳しい弁護士と相談しましょう。

DVに詳しい弁護士とは、単にDVの法律に詳しい弁護士という意味ではありません。DV加害者・被害者の特有の精神状態や社会的行動等に精通している弁護士です。
まず弁護士と相談し、自分が本当に冤罪なのか、それとも単に自覚できないだけなのかを認識しましょう。
もし自覚できないだけなら、カウンセリングをされることをお勧めします。カウンセラーは、当事務所で紹介します。
もし本当に冤罪なら、徹底的に無罪を勝ち取りましょう。

Q4.避難した妻から裁判所に保護命令を申し立てられましたが、何の暴力もふるっていません。どうすれば良いですか

保護命令の棄却を求めましょう。

女性からの保護命令申立は、一応、外形が整っていると、保護命令が発令されます。しかし、婚姻生活の実体等を丁重に裁判官に説明し、暴力があり得ないことを印象づければ、保護命令が棄却されることは少なくありません。

森法律事務所の取り扱い例(03-3553-5916
DV防止法を悪用する女性が多いのが現実です。これにより子供と父親との面会交流を阻止でき、国のほうで衣食住も確保してくれるからです。
ただ、裁判所も、その辺は心得ています。被害者の方や加害者の方の行動パターンがDVの特徴を備えていないことを当時事務所で指摘すれば、保護命令は却下されます。当事務所では、数多くの保護命令却下の決定を得ています。

モラル・ハラスメント相談室

森法律事務所から(03-3553-5916
モラハラとは、精神的暴力を駆使することで、加害者は、次第に被害者を追い詰め、支配するもので、配偶者を支配しようとするDVの一種です。離婚でモラハラを主張する案件は非常に多いのですが、以下の問題点があります。
1,裁判所サイドからすると、多くが単なる夫婦喧嘩の一環で、
   性格の不一致にすぎない場合が非常に多い。
2,自己主張の強い配偶者と受け身の配偶者の間でモラハラが
   問題になることが多いが、自己主張が強すぎるのか、逆に、
   精神的に脆弱すぎるのか、線引きが非常に難しい。
3,背後に配偶者の自己愛性パーソナリティ、境界性パーソナリティ
   という精神医学的問題が潜んでいる場合が多い。
ただ、調停委員会での言動等から、モラハラを認定してくれる場合も、結構あり、当事務所では、これまで数多くのモラハラ認定を勝ち取ってきました。 モラハラ夫には、極端に自己主張が強いという特有の言動があり、これを裁判所サイドに説明し、納得してもらえるかがポイントで、この件についても、数多くのノウハウがあります。

Q1.モラハラとは何ですか?

精神的暴力を駆使することで、加害者は、次第に被害者を追い詰め、支配するもので、配偶者を支配しようとするDVの一種です。

モラハラは、DVと同じく相手を支配し、コントロールしようとするものですが、DVとは異なり、暴力は振るわず、精神的に相手を支配しようとする点に特徴があります。夫婦間の場合、「愚かで劣った配偶者を正しく導く」という認識のもとで、配偶者の言動を細かく注意し、「指導」します。配偶者が、それを拒否すると、一転して無視の態度や露骨な不快感を示し、配偶者を精神的に追い詰めます。
配偶者は、当初は反発しますが、モラハラ配偶者は、自己主張が非常に強く、自分の意見が通るまで執拗に論議をふっかけてきます。揚げ足をとったり些細な言い間違いやミスをやたら指摘し、それを契機としてネチネチと説教が始まり、失敗すれば責め立てます。
被害者は、次第に疲れ果て、反論すればするほど追い詰められ苦しめられということが返し行われ、次第に「何も言わない方がいい」と考え、ついには、反論しないで相手に従うようになり、操り人形のようになっていきます。モラハラ加害者に操縦されるようになるわけです。
ただ、モラハラ加害者には、自分の行動の異常性が認識できません。妻が耐えてきたという事実も認識できません。当初は夫婦喧嘩もあったが、今は、円満な夫婦になったとしか認識しており、耐えきれなくなった妻が逃亡すると、妻の決意による逃亡は認識できず、両親とか弁護士がそそのかしたとしか認識できません。

Q2.モラハラの加害者には、どのような特長がありますか?

自分は、配偶者を正しく導いているのだと思い込んでいることです。

モラハラ加害者の特徴として、モラハラという認識が全くなく、むしろ自分は正しいことをしているのだという認識を持っていることです。「自分は、愚かで劣った配偶者を正しく導いているのだ」と思い込んでいるからです。
そのため、弁護士や裁判官が、モラハラの可能性を指摘しても、自分は愚かで劣った配偶者を正しく導こうとしていたと認識しているため、「なに、言ってるんだ、こいつらは。夫婦の問題に口出しするな」という反発しか持ちません。自分が配偶者を追いつめたという自覚がないため、矯正は著しく困難です。

Q3.モラハラ加害者には、性格的に特長がありますか?

男尊女卑的思考「&or」自己愛性パーソナリティの傾向が強いという特長があります。

この背景には、2種類あります。
一つは、前近代的な男尊女卑的思想の持ち主で、その結果、モラハラをするタイプです。このタイプのモラハラは、調停や訴訟でも男尊女卑的発言を繰り返すので、認定は比較的容易です。調停委員会等に対し、夫が悪びれずに「妻が夫に従うのは当然」「妻には教育的指導をしていた」と堂々と言えば、裁判所は、モラハラを認定してくれます。
もう一つは、背後に、自己愛性パーソナリティの傾向が強く、場合によっては、その傾向が「病む」というレベルに達している場合です。このレベルに達している場合だと「自己愛性パーソナリティ障害」という精神疾患になり、治療の対象になりますが、本人が自覚しておらず、改善はほぼ不可能です。
また、このタイプの人は、他者の尊敬や注目を集める職業を選ぶ傾向があります。医師、弁護士、学者、高級官僚、外資で高額年収の人に多いと言われますし、実際、弊所の経験でも、モラハラ加害者には、職業的な偏りの傾向がないわけではありません。社会のエリートにはモラハラが多いという都市伝説は、全くデタラメとは言い切れません。

Q4.自己愛性パーソナリティ障害か否かは、どうやって判断するのですか?

米国精神医学会の診断基準を用います。

〔自己愛性人格障害の診断基準 DSM-IV-TR〕
米国の診断基準であるDSM-IV-TRによれば、自己愛性人格障害か否かの判断基準は、以下の通りです。
「誇大性(空想または行動における)、賛美されたい欲求、共感の欠如の広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される。
1、自分が重要であるという誇大な感覚(例:業績や才能を誇張する、十分な業績がないにもかかわらず優れていると認められることを期待する)
2、限りない成功、権力、才気、美しさ、あるいは理想的な愛の空想に囚われている。
3、自分が “特別” であり、独特であり、他の特別なまたは地位の高い人達(または団体)だけが理解しうる、または関係があるべきだ、と信じている。
4、過剰な賛美を求める。
5、特権意識(つまり、特別有利な取り計らい、または自分が期待すれば相手が自動的に従うことを理由もなく期待する)
6、対人関係で相手を不当に利用する(すなわち、自分自身の目的を達成するために他人を利用する)。
7、共感の欠如:他人の気持ちおよび欲求を認識しようとしない、またはそれに気づこうとしない。
8、しばしば他人に嫉妬する、または他人が自分に嫉妬していると思い込む。
9、尊大で傲慢な行動、または態度」

Q5.自己愛性パーソナリティタイプのモラハラの特長は?

過剰な自信と極端な自己主張です。

このタイプの特長は、自分に過剰な自信があり、その過剰な自信から自己主張が極端に強いという特長があります。また、絶えず周囲から称賛され注目される存在を求めます。「私は世間や個人を指導し教育する立場だ」「自分が世の中を変える」「間違えた配偶者は、自分が正さなければならない」というのが自己愛性パーソナリティです。
この手の自己愛性パーソナリティ配偶者がターゲットを一人(配偶者)に絞ると、極度のモラハラとなって現れます。優越感を支えるために身近な配偶者を見下し、説教をしたり馬鹿にするようになります。自分と異なる配偶者の見解を「異なる見解」とは認識できず「間違っている見解」としか認識できません。
さらに裁判や調停などになっても、自己主張が非情に強く、裁判官や調停委員を見下すため、円満な和解は無理です。

Q6.妻は、私をモラハラだ、自己愛性パーソナリティ障害者だと言います。しかし、私は、会社では有能な社員で、職場でも信頼されています。

逆に、そのようなタイプにモラハラが多いです。

自己愛性パーソナリティ傾向が強いタイプの人のモラハラは、社会では、逆に高く評価されている傾向があるという特長があります。会社では人一倍仕事熱心である、私利私欲を捨て消費者運動や反戦運動に熱中する。会社や社会で高い評価を得ています。こういうタイプは、一般に、自己愛性パーソナリティ傾向が強く、それが社会活動でプラスになるわけです。
しかし、この自己愛性パーソナリティ傾向が、家庭ではマイナスに成り、モラハラとなって表れます。
社会的に尊敬を集める人が家庭内でモラハラというのはレアケースではありません。モラハラ配偶者=悪というほど、単純に図式化できない点に問題の難しさがあります。
この点が、境界性パーソナリティ障害と異なるところです。自分を否定する言動に対しては極端に反発する点では共通していますが、境界性パーソナリティ障害では、それゆえに対人関係を構築できないのに対し、自己愛性パーソナリティ障害の場合は、相手との関係では支配服従という関係を構築し、社会的にも、良好な友人関係をつくることができます。

Q7.私の妻は、すぐに切れてしまいます。私は妻が境界性パーソナリティ障害だと思うのですが、妻は逆に私がモラハラだと非難します。どちらが正しいのでしょうか?

ケースバイケースです。

配偶者がモラハラの場合、被害者は、精神的に追い詰められているので、自己防衛のために、ちょっとした言動に過敏に反応して攻撃的防御を行うようになったり、少しのことで感情爆発が起こります。一方、加害者は常に落ち着いて攻撃を加えているので、被害者が加害者に見られてしまうことがあります。
時々、うちの妻がおかしい、些細なことで激怒する、人格障害だという相談がありますが、相談者自身が、配偶者をねちねちと追い詰めているケースもあります。こういう場合は、妻がボーダーなのではなく、夫自身が自己愛性パーソナリティの傾向が強いのです。
弁護士としては、見極めが大切です。
ちなみに、自己愛性パーソナリティタイプの人と境界性パーソナリティタイプの人は、男女として、なぜか惹かれ合うことが非常に多く、モラハラとされるケースで、夫が自己愛性パーソナリティタイプで妻が境界性パーソナリティタイプというケースが少なくありません。
こういう場合は、夫の自己主張が強すぎるのか妻が過敏すぎるのか、認定が非情に難しくなります。

Q8.モラハラは、女性にはないのですか?

女性にもあります。

夫が「男だから」、「食わせているから」、妻を支配して当然という考え方で、強引に家庭を支配しようとするのが、典型的なモラハラ夫ですが、それと逆のモラハラが女性にあります。
「女は働かなくて良い。夫は、妻子に満足な生活をさせる義務がある、経済的にも精神的にも不快な思いはさせてはならない」という、夫を生活手段としか考えない意識をもっている場合です。 自分や子供は贅沢な生活を送りながら、夫は、最低限の小遣いも、ろくにもらえないケース、結構、あります。

Q9.裁判所でモラハラを認定してくれるケースは?

封建的な言動が目立つ場合です。

調停委員会等に対し、夫が悪びれずに「妻が夫に従うのは当然」「妻には教育的指導をしていた」と堂々と言えば、裁判所は、モラハラを認定してくれます。
しかし、自己愛性パーソナリティタイプのモラハラだと、モラハラの認定は非常に難しくなります。
実務では、モラハラという言葉が飛び交いますが、その多くが性格の不一致です。しかも、価値観を押し付け支配しようとする行為と、性格の不一致で衝突する行為は、現実には、紙一重で判別困難です。
そのため、モラハラを言えば言うほど、逆に、「モラハラを言うアナタが、わがままなんじゃないの?」と思われてしまうことがあります。
調停等でどういう発言をするか、弁護士とよく相談したほうがいいでしょう。

Q10.モラハラで離婚できたり、慰謝料を請求できるの?

モラハラは離婚原因にはなるが、慰謝料までは請求できないケースが多いです。

モラハラが配偶者の前近代的思想から来る場合は、慰謝料請求もできますが、自己愛性パーソナリテイが原因の場合は、性格の不一致と区別が困難であり、自己主張の強さが原因なのか、過敏さが原因なのか、簡単に判断できません。
この場合は、慰謝料請求は難しいでしょう。
ただ、客観的証拠から「支配服従」という関係が成立していたとなると、慰謝料請求も可能です。

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