不貞慰藉料・婚姻関係破綻の抗弁について最高裁は態度を変更したか?

家事関連事件のうち、不貞慰謝料は、どちらかというと「過払い金返還」とかB型肝炎給付金・交通事故を中心に事件を受任している事務所が多く受任する事件です。「不倫慰謝料請求」で検索すると上位に出てくる事務所は、B型肝炎給付金あたりで検索する事務所とあまり変わりません。
他の家事事件に比べて、事件処理が比較的定型的で、相場も大体決まっているので、定型的処理が可能だからです。
そういうこともあって、最高裁第二小法廷令和8年6月5日判決(令和7(受)933号)は、ほとんど注目されていません。
しかし、この判決で、今後の慰藉料請求訴訟は、かなり難しくなるのではないかと思っています。
この判決に対するweb上の記事をみると、ほとんどが、「高裁は、離婚が破綻していたと信じていたことについて過失があるかないかを判断しなかった。だから最高裁が破棄したのは当然だ。」という書き方をしています。
ただ、この判決の問題点は、実は、そこにあるのではなく、最高裁が、「破綻」の抗弁についてかなり積極的に認定するよう方向転換したのではないかということです。そうなると事件の定型的処理が難しくなるのではないでしょうか。従来の実務を前提とするなら、この事件は上告受理されなかったでしょう。
この問題については、今月中に発売される『正解がみつかりにくい 離婚給付の実務』の「第3章 第1 慰謝料請求における破綻認定と証拠収集の適法性 〔42〕婚姻関係の存在・破綻に関する不貞相手の賠償責任」に詳しく述べていますので、そちらをご覧ください。
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