面会交流問題でよくあるご質問とアドバイス|森法律事務所

面会交流問題でよくあるご質問とアドバイス

この記事の目次

面会交流相談室

Q1 別居した妻が子供に会わせてくれません。どうしたらいいですか
Q2 面会交流の調停を申し立てたのちは、どのように進行しますか
Q3-1審判に移ったとき、必ず面会させるという審判をだしくれるものでしょうか?
Q3-2私は、再婚し、子供を再婚相手の養子としました。新しい家族のために面会交流はさせたくありません。再婚は、面会交流拒否の理由になりますか

Q4 子供と永年面会できていません。いきなり面会して子供が驚かないでしょうか。
Q5 面会交流をうまく行うコツはなんですか
Q6 面会交流が審判や調停で定まったが、監護親が面会を拒否した時は、間接強制ができますか
Q7 間接強制を考え、調停では、面会交流をできるだけ具体的に定めたいのですが。
Q8 調停で面会交流を定め、約束に基づいて、面会交流を3回行ったのですが、いずれも、非監護親が何かと因縁をつけ、子供の前で口論になりました。どうすれば良いでしょう?
Q9 今度、面会交流を行う非監護親です。何を注意すればよいでしょうか?
Q10 私は暴力を振るってないのにDVだと嘘をつき、家を出たまま、子供とも会わせてくれません。妻は病気でしょうか?
Q11 面会交流が認められない配偶者はいますか
Q12 家裁は、面会交流につき、子供の意思をどのように把握していますか
Q13 面会交流は監護親の権利ですか

面会交流相談室

Q1.別居した妻が子供に会わせてくれません。どうしたらいいですか

当事者の協議が無理な時は面会交流の調停申し立てをします。


面会交流は、できれば、当事者で協議するのが望ましいのですが、相手と冷静に協議することができないときは、地元の家庭裁判所に調停を申し立て、調停委員会に中に入ってもらい、協議しましょう。 もしそれでも、協議がつかないときは、裁判官が審判を出してくれます。

森法律事務所の取り扱い例(03-3553-5916)
面会交流の申し立ては無数に経験しています。最優先すべきは、子供の福祉ですが、当事者、特に男性側は「戦い」と認識し、自分で自分の首を絞めている結果になっています。
面会交流は、児童心理や児童教育、精神医学等に精通している必要があり、家事事件のなかでも一番専門的知見が必要とされる分野です。
できれば弁護士を代理人として選任されたほうがいいと思いますが、面会交流を単なる法律論としか認識できない弁護士なら、依頼されない方がいいでしょう。


Q2.面会交流の調停を申し立てたのち、どのように進行しますか

調停委員を交えて話しをしますが、協議が難航するときは、調査官が調査し調査報告書を提出します。

 

 

現在、家庭裁判所は、面会交流に関しては、「全件調査官立会い主義」をとっており、調停には、通常、1回目から調査官が立ち会います。調査官は心理学・教育学等の専門家で、法律家的観点とは異なる専門的知見から事件に関わります。
当事者の協議が難航するときは、この調査官が両親や子供と面談をし、あるいは試行面接を試みて、報告書を作成し、調停委員に提出します。
面会交流の調停は、概ね、この調査報告書に基づいて調停が成立します。


Q3-1.審判に移ったとき、必ず面会させるという審判をだしくれるものでしょうか?

Q3-2.私は、再婚し、子供を再婚相手の養子としました。新しい家族のために面会交流はさせたくありません。再婚は、面会交流拒否の理由になりますか

 

DV等がないときは、原則として、面会交流の審判を出します。

 

かつて家庭裁判所は、離婚紛争中、再婚等の事情があるときは、面会交流を認めていませんでした。 しかし、現在は、面会交流を求める配偶者が他方の配偶者や子供に暴力をふるった等の特別の事情がない限りは、面会交流を認めています。
再婚家庭を考えると前の夫との面会交流を拒否したい気持ちはわからないでもないですが、家庭裁判所は、このような場合でも、子の福祉にかなうとして、面会交流をさせます。


Q4.子供と永年面会できていません。いきなり面会して子供が驚かないでしょうか。

永年面会交流ができていなかったとき、監護者が子供が嫌がっているとし面会交流を拒否しているとき等は、家庭裁判所の一室で試行的面会交流を行います。

 


監護者が、子供の心情を理由として、かたくなに面会交流を拒否している、あるいは永年、面会交流を実現できていなかった等の事情があるときは、試行的面会交流を行います。家裁に試行的面会交流を行う場所があり、観察用に、壁の一部がマジックミラーになっています。
まず監護者と子供がその部屋に入り、次に、調査官が入ります。それから監護者が抜けて調査官と子供の二人だけになります。それから非監護者が入ってきて、頃合を見計らって調査官が退室します。こうして非監護者と子供の二人だけになり、その様子をマジックミラー越しに監護者と調査官が観察します。



Q5.面会交流をうまく行うコツはなんですか

面会交流は、「細く長く」がコツで5年経過すれば大体円満にいきます。


非監護親は、どうしても、面会交流の「量」にこだわります。できるだけ多く面会したいといい、調停でも、もっぱら回数や時間が争点になります。
しかし、面会交流のコツは「細くとも長く」です。おおむね5年以上継続した面会交流は、その後も、順調にいくことが統計的に証明されています。そのような場合は、子供が成人したのちも、非監護親との交流は円滑に行われます。



Q6.面会交流が審判や調停で定まったが、監護親が面会を拒否した時は、間接強制ができますか

面会交流の時間、回数、子供の引渡し方法が具体的に決まっていれば、間接強制ができます。



最高裁は、平成25年3月28日、調停条項に基づく面会交流について間接強制の可能性に関する判断を示しました。
以下の3点につき、給付請求が可能な程度に具体的に条項が定められているときは、間接強制も可能です。

1 [面会交流の日時または頻度]  が具体的に定められている。
[各回の面会交流時間の長さ] が具体的に定められている。
[子の引渡しの方法] が具体的に定められている。

ただし、この間接強制が可能なのは、子供がおおむね小学校中学年以下の場合です。それ以上になると子供は自分の意思で動きますので、間接強制は難しいとされています。



Q7.間接強制を考え、調停では、面会交流をできるだけ具体的に定めたいのですが。

面会交流が順調に行われておらず、かつ、子供が小学校中学年以下の場合は、可能です。

 


面会交流は、子供が小さいころは、両親の意向によって決まります。「子供が会いたがってない」と監護親が主張しても、それは、監護親の意向を反映しただけとして裁判所は相手にしません。しかし、子供が小学校の高学年頃になると、親とは別の自分の世界を形成し、比較的親の意向を離れて判断できるとされています。特に中学生以上になると、自分の意思で動き、親の意向は関係ありません。

面会交流の間接「強制」は、小学校中学年くらいまでです。 また、間接強制可能なように面会交流を定めると、逆に、面会交流が硬直的になり、円滑な面会交流が実現できない場合があります。面会交流がうまくいっているときは、柔軟な面会条項を定めたほうが後々うまくいきます。

これに対し、子供が幼く、従前の経緯から円滑な面会交流が期待出来ないときは、間接強制が可能なように面会交流条項を定める必要があります。



Q8.調停で面会交流を定め、約束に基づいて、面会交流を3回行ったのですが、いずれも、非監護親が何かと因縁をつけ、子供の前で口論になりました。どうすれば良いでしょう?

面会交流の変更申立を家庭裁判所にします。

 


最高裁は、面会交流も間接強制が可能であると判断した際、あわせて「面会交流の調停・審判後に事情の変更があったときは、事情変更を理由に新たに面会交流の調停・審判を求めることができる」と判断して、従来の実務を容認しています。子供の前でトラブルを起こせば、子供が今後面会交流に消極的になるのは当然で、このような場合は、家裁に面会交流の条項変更の申し立てをすべきです。


Q9.今度、面会交流を行う非監護親です。何を注意すればよいでしょうか?

子供の前では絶対に喧嘩をしないことです。

 


子供は、両親の板挟みになり、親が想像する以上に傷ついているばかりか、面会交流は、想像以上に、子供に圧力を与えています。表面的には喜んでいても、内心は、そうではありません。
にもかかわらず、子供の前でトラブルを起こすことは、子供にとって恐怖以外の何物でもなく、子供に激しいストレスを与え、以後、面会交流を嫌がります。 たとえ、相手方に全面的に非があろうとも、感情的になってはいけません。
もし面会交流でトラブルが起きたら、面会交流の適格性を欠くと裁判所から判断されるリスクを覚悟すべきです。

森法律事務所の取り扱い例(03-3553-5916)
面会を行ったが中途で断られたという相談は、数多くあります。
事情をきくと、たいてい、トラブルが起きたのちに面会交流を拒否されています。相手の言い分があまりにも理不尽なときは、立腹するのは当然ですが、面会交流の意味を考えれば、我慢すべきです。もしこれができないなら最終的には間接的面会交流にかえられてしまいます。
面会交流は、子供の福祉のために認められているのであり、子供の権利であって、親の権利ではありません。

Q10.私は暴力を振るってないのにDVだと嘘をつき、家を出たまま、子供とも会わせてくれません。妻は病気でしょうか?

奥様はアスペルガーの疑いがあります。面会交流の必要性は極めて高く、しかし、その実現は非常に難しいです。

 


アスペルガーの方は、感覚が敏感のため、配偶者の些細な行動に極端な恐怖心を抱き、自分はDV被害者だと思い込んでしまう場合があります。いわゆる「思い込みDV」で、配偶者からすれば「でっちあげDV」です。
しかも、アスペルガーの方は、想像力も欠如していますから、子供と会わせたらどう展開するか、これが想像できず、子供が配偶者に会うこと自体が恐怖そのものです。
こういうケースでは、面会交流の必要性は非常に高いといえます。こういう監護親の場合、子供は監護親の姿が見えないだけで不安がることもあるし、何らかの精神的な問題点を抱えている場合もあります

反面、面会交流の実現が非常に難しいケースでもあります。
この種の事案では、家事に詳しい弁護士に頼んで面会交流の調停をしてもらうべきです。

森法律事務所から一言
同種の案件をいくつか扱ったことがあり、調停を申し立て、調査官調査を通じて最終的には、なんとか面会交流を実現しました。しかし、調査官調査さえ拒否した監護親がいて、このケースでは、面会交流は実現できませんでした。

Q11.面会交流が認められない配偶者はいますか

DV加害者、児童虐待者とか薬物やアルコールの中毒者、重度の精神障害者の場合、それとやたらと闘争的な方です。

 


DV加害者、児童虐待者とか薬物やアルコールの中毒者、重度の精神障害者、こういう人たちが、面会交流に適さないこと、つまり原則として面会交流をさせないことは、おそらくあまり異論はないと思われます。
それ以外で、再婚した場合とか、離婚で争っている場合でも、家裁は面会させています。
しかし、面会交流を夫婦間紛争の一つとして認識し、面会交流で「戦う」当事者や代理人、これは、面会交流が何かを全く認識していないわけで、こういう人たちは、面会させないとは言わないけど、家裁では、間接的な面会交流とか、そういう方向でお茶を濁して終了させます。

Q12.家裁は、面会交流につき、子供の意思をどのように把握していますか

調査官による調査で把握します。


現在、東京家庭裁判所は、面会交流の申立があると、全件調査官を立ち会わせています。立ち会い調査官は、夫婦双方の態度を観察します。やたら戦闘的な弁護士とか当事者がいると、その手のタイプは、この段階で、「あ、これは駄目。問題外」として、あとはテキトーに扱われることになります。

当事者として真摯に対応しているが、面会交流をめぐって深刻な対立があるときは、ケースによっては、裁判官の調査命令に基づき、調査官が子供と面談をします。いわゆる子の意向・心情調査です。

子の意向調査は、概ね10歳以上の子供に対して行われ、子の心情調査は、概ね10歳未満の子供に対して行われます。子供が、両親の板挟みになってどのような心情なのか、等、かなり科学的な観点から調査をします。

森法律事務所から一言
面会交流事件は、数えきれないくらい扱っています。大切なのは、子供の福祉を最優先に考えることですが、言うは易く、行うは難しです。ただ、この点をわきまえないと、予想もしない結論になる場合があります。

Q13.面会交流は監護親の権利ですか?

親の権利ではなく、子供が親に会う権利です。


なぜ子供のために面会交流が認められるのか。それは、次の3点に集約できます。
第1は、自分は片親だけでなく、両方の親から愛されているのだ、という確認です。 子供にとっては、片親としか同居していないということは、別居親は、もう自分を見捨てたのではないか、という不安感にかられます。別居親が、定期的に子供と面会することで、「そうではない、別居親は、何時でも自分のことを考えていてくれてるんだ」という実感を獲得できます。これにより、自尊心が芽生え、成長と共に他人を大切にするようにもなります。

第2は、親からの精神的自立です。同居親との交流が密で、別居親との交流が薄いと、子供の心は、いつまでも同居親によりかかることになり、同居親の影響を抜け出せません。しかし、別居親と絶えざる交流をすることで、多様な考え方を取り入れることが可能となり、親から自立した考えが可能となります。

第3は、両親への愛情の確認と、両親の考え方の違いを子供なりに認識し、それを好意的にあるいは批判的に吸収し、親とは独立した考えの人間として成長できるということです。 面会交流の意義を以上のように捉えると、面会交流を離婚戦争に続く戦争と捉える非監護親の考えが間違えているのはもちろんのこと、逆に非監護親と切り離し子供を独占しようとする監護親の考えも間違えていることになります。


離婚・遺産相続弁護士の日々雑感